2007年12月12日(水)15:27

リスボンでのEU改革条約調印式を前に騒動

リスボン/ストラスブール(AFP)

木曜日のリスボンでのEU各国首脳の会合を前に、欧州議会では騒動が起きた。極右と極左の欧州統合反対論者がストラスブールで、欧州基本権憲章の布告式典を妨害した。この欧州市民の基本権憲章は「リスボン条約」の一部であり、EU各国首脳はポルトガルで同条約を調印する意向である。欧州議会社会民主党のマルティーン・シュルツ議員団長(ドイツ社会民主党SPD)はナチの時代を思い出すと述べた。自由党系議員は「議会のフーリガン」と批判した。

主にイギリス、ポーランド、フランス、イタリア、デンマークの右翼政党に所属する約60人の欧州統合反対論者が欧州議会の式典を妨げた。大声で「国民投票」と叫び、EU改革条約の国民投票を要求した。フランスの極右、国民前線(FN)のジャンマリー・ルペン党首や、反EU主義のイギリス独立党のナイジェル・ファリッジ党首もこの反対運動に加わった。

欧州議会のハンスゲルト・ペッテリング議長(ドイツ・キリスト教民主同盟CDU)は反対する議員に静粛を呼びかけたものの、効果はなかった。EU議長を務めるポルトガルのジョゼ・ソクラテス首相は、たびたびブーイングで演説を妨害され、何度もやり直さねばならなかった。欧州委員会のジョゼ・マヌエル・バローゾ委員長の演説もブーイングを浴びた。その後、欧州議会議長、EU議長、欧州委員会委員長は基本権憲章に調印した。

シュルツ社会民主党議員団長はこの反対運動をナチの手法になぞらえた。ナチの時代、ある帝国議会の議員団は政敵を野次り倒すのが常だった。「この議員団こそアードルフ・ヒトラーの政党であった」、とシュルツ議員団長は述べた。自由党のグレアム・ワトソン議員団長はこの騒乱を起こした議員らについて、「彼らの態度ははからずも一つのイデオロギーを示している。それは、なぜこの基本権がこれほど重要なのかを明らかにするものだ」と述べた。

リスボン条約により、2000年に採択された欧州基本権憲章は初めて法的拘束力を持つことになる。欧州市民は言論の自由から個人情報保護に至る権利を欧州の裁判所に訴えることができる。同条約はEU加盟全27ヶ国が批准したならば、2009年1月1日に発効することになる。国民投票を予定しているのはアイルランドのみである。同条約は、2年半前にフランスとオランダの国民投票で批准否決された欧州憲法に代わるものである。

「リスボン条約」の調印についてアンゲラ・メルケル首相(CDU)は、「EUの行動能力の拡大に向けた重要な一里塚」と語った。EUはこの条約により一層市民に近づく、と首相は連邦議会の政府演説で述べた。

原題:Eklat vor EU-Spitzentreffen in Lissabon




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